商品開発の質はインプットに比例する
サービスを含むあらゆる商品開発には、多くの要素を必要とします。
今回は圧倒的なインプットが必要という話をします。
6万冊の圧倒的なインプットから生まれた200の名作
先日、大阪府 東大阪にある司馬遼太郎記念館に行ってきました。
写真は司馬さんの本物の書斎です。当時のまま記念館の隣に保存されています。
司馬遼太郎記念館は2001年11月、東大阪市の住宅街の一画に開館しました。司馬遼太郎の自宅と隣接地に建つ安藤忠雄さん設計のコンクリート打ちっ放しの建物で構成されています。地下1階、地上2階、ゆるやかな曲線を描くシンプルな構造で、雑木林風の庭の小径から窓越しに、司馬遼太郎の書斎を間近に見ることができます。
この記念館は「見る」、というより「感じる」「考える」記念館という位置づけです。その代表が、安藤さん設計の新設部分に展開する、高さ11メートル3層吹き抜けの大書架です。約2万冊の蔵書の世界が広がり、まさに、司馬遼太郎の精神を感じることのできる空間です。
(司馬遼太郎記念館ホームページより)
圧巻だったのは、書架に収納されていた本の量です。
その数、6万冊。
全て司馬さんが、執筆のために収集したものです。
代表作「竜馬がゆく」の構想作りに着手するにあたっては、東京神田のあらゆる古本屋からごっそり坂本龍馬関係の資料を買い占めたため、神田から龍馬関係の本が消えたという逸話もあります。
そんな大量のインプットを司馬さんはこなし、だからこそ、まるで歴史のワンシーンを見てきたかのような描写をもって、あのような素晴らしい作品が生まれたのだと思います。
司馬さんが生涯で生み出した作品数は、長編小説44作品、短編小説156作品。
単純に換算すると、1作品あたり300冊のインプットがあったということです。
差別化をするためのインプット
成功している企業は、なにか1つ以上、他社より優れているものを持っています。
販売する商品そのものだけでなく、サービス、料金、支払い方法、店舗の内装など色々あります。
例えば、Amazonは初期に本の販売から有名になっていきましたが、従来の書店と違ったことは、
1.送料無料ですぐに届く
2.リアル書店ではあり得ないほどの豊富な種類の本を販売している
です。本それ自体はありふれたものですが、それを顧客に届けるまでの体験の素晴らしさがAmazonのファンを増やしたのです。
こういった「他社よりも優れている」ことを差別化と言いますが、この差別化を生み出すために経営者がゼロからアイデアを出していくことは難しいでしょう。もちろん、思いつくアイデアがあるかもしれませんが、時間がかかりすぎたり、発想がありきたりかもしれません。
ここで推奨したいのが、圧倒的なインプットなのです。
司馬さんが300冊の参考文献から1作品を生み出したように、経営者も300冊の本を読んで1つの差別化を考えてみてはいかがでしょうか。
本に限らずとも結構です。映画を観る、美術館に行く、旅行に行く、食事をする、茶道を習う、というように五感を活かして身体にインプットできる体験であれば何でもいいでしょう。
何かを体験しているうちに感じた不満から新商品のアイデアが出てくるものです。